文庫情報

だいぶ遅れた。2025年3月刊行の文庫から。

やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく
  • 『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』
  • 梯 久美子
  • 文藝春秋
  • 2025年03月05日
  • ISBN: 9784167923464
  • 文春文庫

NHK朝ドラ「あんぱん」放送!  梯久美子が書き下ろす「アンパンマン」の作者・やなせたかしの本格評伝 栗林忠道、島尾ミホ、原民喜などの評伝を手がけてきたノンフィクション作家・梯久美子が、綿密な取材をもとに知られざるエピソードを掘り起こした「やなせたかし」評伝の決定版。 高知県で生 …

スタッフロール
  • 『スタッフロール』
  • 深緑 野分
  • 文藝春秋
  • 2025年03月05日
  • ISBN: 9784167923402
  • 文春文庫

『戦場のコックたち』『ベルリンは晴れているか』著者が放つ、 才能や評価で悩んだことのある、すべての人へ贈る物語 圧巻のエンターテインメント長篇! 【あらすじ】 1980年代のハリウッド、圧倒的に男性優位な映画界で もがき奮闘する特殊造形師のマチルダ。 現代ロンドンで、ある出来事をきっかけに 自分 …

誰でもない
  • 『誰でもない』
  • ファン・ジョンウン/斎藤 真理子
  • 河出書房新社
  • 2025年03月06日頃
  • ISBN: 9784309468112
  • 河出文庫

日常がディストピアとなった現代を生きる人々の代えがたき瞬間を、見事なリリシズムとユーモアで描き出す。韓国文学の「顔」である作家による、数々の文学賞に輝いた作品を収録した、代表的短編集。

ウスバカ談義
  • 『ウスバカ談義』
  • 梅崎 春生
  • 筑摩書房
  • 2025年03月12日頃
  • ISBN: 9784480440105
  • ちくま文庫 うー51-1

戦後派の巨匠が贈る昭和のユーモア短編集 強烈な友人・知人たちとの奇妙な会話、突飛なエピソード、滲み出す虚無感。 生誕110年記念復刊  解説・荻原魚雷 「相手をグサッと突き刺すような言葉は、お互いに本能的に避けるでしょう。それがルールというものです。あんただって誰かと喧嘩して、大バカと言われるよ …

物語の作り方 ガルシア=マルケスのシナリオ教室
  • 『物語の作り方 ガルシア=マルケスのシナリオ教室』
  • G.ガルシア=マルケス/木村 榮一
  • 岩波書店
  • 2025年03月18日頃
  • ISBN: 9784006023676
  • 岩波現代文庫 文芸367

おもしろい物語はどのようにして作るのか? いったい何がきっかけで物語は成長し、新たに生まれ変わるのか? ガルシア=マルケスとプロのシナリオライターの仲間たちがキューバに集結。視聴者に訴えかけるストーリーづくりの秘法を語り合う。稀代のストーリーテラー、ガルシア=マルケスによる、実践的〈物語の作り方〉道 …

小説を書くということ
  • 『小説を書くということ』
  • 辻邦生
  • 中央公論新社
  • 2025年03月24日頃
  • ISBN: 9784122076327
  • 中公文庫 つ3-31

フィクションとは、はじめ私が考えていたような、作者の勝手気ままによって、どのようにもなるというものではなく、むしろ、ある必然の動きをもって作者に迫ってくるものだ、ということができます。 フィクションとは、全体の真実を、生きた形で表わすための、必要な新しいパースペクティヴなのですーー作家志望者に向けた …

石原吉郎
  • 『石原吉郎: シベリア抑留詩人の生と詩』
  • 細見和之
  • 中央公論新社
  • 2025年03月24日頃
  • ISBN: 9784122076334
  • 中公文庫 ほ25-1

【昭和・光と影】 『サンチョ・パンサの帰郷』『望郷と海』で知られる戦後日本を代表する詩人・石原吉郎。 彼は厳寒の地シベリアで何を体験し、日本社会に何を見たのか。 62年の波瀾の生涯を丹念に辿り、詩からエッセイ、短歌俳句まで精緻に読み解き、戦中・戦後体験と作品世界を捉えなおす。 巻末に山城むつみとの対 …

光の犬
  • 『光の犬』
  • 松家 仁之
  • 新潮社
  • 2025年03月28日
  • ISBN: 9784101055732
  • 新潮文庫

ひとりひとりの人生は奇妙にゆがみ、奇妙に偏っている──。助産婦の祖母、独身の三人のおばたち、会話の少ない父母、のびやかな姉・歩と気難しい弟・始。それぞれの願いと葛藤が溶けあいながら、三世代の時間は進んでゆく。北海道の小さな町を舞台に、失われてゆく一族の姿と、色褪せない人生の瞬間を、記憶をたどるように …

河を渡って木立の中へ
  • 『河を渡って木立の中へ』
  • アーネスト・ヘミングウェイ/高見 浩
  • 新潮社
  • 2025年03月28日
  • ISBN: 9784102100202
  • 新潮文庫

第二次大戦後数年を経たヴェネツィア。アメリカ陸軍大佐キャントウェルは、貴族の娘レナータと刹那の逢瀬を重ねる。彼の心の傷を癒すため戦争の真実を明かしてくれとせがむ恋人に、重い口を開いて語ったのは、凄惨な戦いの全貌と自らの判断ミスで多くの部下を殺してしまった悔恨の情だった……。年の離れた愛しい人、戦争の …

選んで、語って、読書会1
  • 『選んで、語って、読書会1』
  • 有栖川 有栖/北村 薫/宮部 みゆき
  • 東京創元社
  • 2025年03月31日頃
  • ISBN: 9784488400644
  • 創元推理文庫

あなたにとっても忘れられない作品と出会う場所。 三人の読書家それぞれの“とっておき”から生まれた 豪華なアンソロジー 誰もが一度は人生のなかで、忘れられない作品と出会ったことがあるのではないでしょうか。アンソロジーには、誰かが長い時間をかけてそれらをあつめた宝箱を見せてもらうような愉しみがありま …

選んで、語って、読書会2
  • 『選んで、語って、読書会2』
  • 有栖川 有栖/北村 薫/宮部 みゆき
  • 東京創元社
  • 2025年03月31日頃
  • ISBN: 9784488400651
  • 創元推理文庫

ひとりではないからこそ深く、 豊かにひろがる読書の喜び。 三人の編者による読書会の様子も楽しめる 読んで語るアンソロジー 本を読むとき、私たちはひとりきりです。けれども、本の向こうにはそれを書いた誰かがいて、同じその本を読んだ誰かもきっといます。一冊の本がひととひとを繋ぎ、さらに別の本にも繋がって …

# 文庫情報

少し遅くなったけど、2025年2月刊行の文庫から。

文庫 書く、読む、生きる
  • 『文庫 書く、読む、生きる』
  • 古井 由吉
  • 草思社
  • 2025年02月05日頃
  • ISBN: 9784794227683
  • 草思社文庫

一行も書けなくなるような 境地がある。そこにさらされたとき、 その奥から何かが見えてくる。 日本文学界の巨星が遺した 講演録、未収録エッセイ、芥川賞選評を集成。 深奥な認識を唯一無二の口調、文体で語り、綴る。 解説=築地正明「作家の声に耳を澄ます」 カバー装画=諏訪敦「古井由吉ver.3」 作 …

近現代詩
  • 『近現代詩』
  • 池澤 夏樹
  • 河出書房新社
  • 2025年02月06日頃
  • ISBN: 9784309421599
  • 河出文庫 古典新訳コレクション

「詩は言葉の精錬の果てに得られた純粋な結晶。丁寧に読めば一語ずつがきらきらと輝いていることがわかるだろう」--池澤夏樹(文庫版あとがきより) 萩原朔太郎、日夏耿之介、佐藤春夫、山之口貘、中原中也、石垣りん、田村隆一、茨木のり子、大岡信、谷川俊太郎たち41人の名詩を、池澤夏樹が精選。詩との新たな出会い …

[増補]お砂糖とスパイスと爆発的な何か
  • 『[増補]お砂糖とスパイスと爆発的な何か: 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』
  • 北村 紗衣
  • 筑摩書房
  • 2025年02月10日頃
  • ISBN: 9784480440082
  • ちくま文庫 きー44-1

ミス・マープルの本当のすごさや、文学史に輝く “キモくて金のないおっさん”を描いた名作、そして新時代のディズニーアニメの悪戦苦闘。あの名作が100倍面白くなり、見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、フェミニスト批評集がついに文庫化! 書き下ろし「どうもありがとう、パメラ・アンダーソン」を含 …

海とサルデーニャ
  • 『海とサルデーニャ: 紀行・イタリアの島』
  • D.H.ロレンス/武藤 浩史
  • 筑摩書房
  • 2025年02月10日頃
  • ISBN: 9784480512833
  • ちくま学芸文庫 ロー4-2

「薄曇りの夜空のひろがるその下で、はるかかなたイオニア海の水平線に、金属が溶けあうように曙光がさしはじめた。よしと、一杯の紅茶とトーストのかけらを飲みこんだ」。1921年1月、作家は妻“女王蜂”を伴い、居住していたシチリアからサルデーニャに向けて旅立つ。近代化のさなかにあっていまだ野性味を残す島の自 …

鶴
  • 『鶴: 長谷川四郎傑作選』
  • 長谷川 四郎/堀江 敏幸
  • 筑摩書房
  • 2025年02月10日頃
  • ISBN: 9784480439673
  • ちくま文庫 はー57-2

戦時中、作者は満州と旧ソ連国境の監視哨で軍務にあたっていた。望遠鏡で覗く平原の不穏な静けさ、近づくソ連軍の足音、捕らえられた中国人・張徳義の悲しみ、兵士たちのあてなき逃走……シベリヤ抑留を経て帰国後に発表された第二短篇集『鶴』にあるのは、透明な抒情で書かれた忘れがたき人と光景である。戦争文学の名著と …

系譜なき難解さ 小説家と批評家の対話
  • 『系譜なき難解さ 小説家と批評家の対話』
  • 埴谷 雄高
  • 講談社
  • 2025年02月12日頃
  • ISBN: 9784065384442
  • 講談社文芸文庫

長年の空白を破り『死霊』五章が発表された直後の1975年7月、埴谷雄高は吉本隆明と秋山駿、二人の批評家に向き合い、根源的な3つの対話を残した。 最初は7月はじめに行われた吉本隆明との対談「意識 革命 宇宙」。ここで吉本は埴谷雄高と『死霊』に対して尊重の姿勢を保持しつつ、馴れ合わない厳しい態度を時に見 …

タマや 新装版
  • 『タマや 新装版』
  • 金井 美恵子
  • 講談社
  • 2025年02月14日
  • ISBN: 9784065385142
  • 講談社文庫

孤独な魂と猫(タマ)の奇妙な日々を、独特のユーモアで描く珠玉の連作短編集。 顔が大きくて丸い猫をおしつけられて、ぼくは困ってしまう。間もなく五匹の仔猫も誕生した。気ままで頼りない、おかしな人間たちと猫との日々。さびしさも哀しみもゆるやかに流れ……。英米をはじめ翻訳出版が欧州各地で話題の著者による、 …

司馬遼太郎の「跫音」
  • 『司馬遼太郎の「跫音」』
  • 関川 夏央
  • 岩波書店
  • 2025年02月17日頃
  • ISBN: 9784006023652
  • 岩波現代文庫 文芸365

「人間にとってその人生は作品である。この立場で私は小説を書いている」--そう記した司馬遼太郎の人生は、どのような作品だったのか。その読み解きと、戦後知識人たちと対話する姿勢から、歴史小説家としての、また文明批評家としての、歴史と人間の物語に対する透徹したまなざしが、いま浮き彫りになる。  序ーー「歴 …

子どもの本の森へ
  • 『子どもの本の森へ』
  • 河合 隼雄/長田 弘
  • 岩波書店
  • 2025年02月17日頃
  • ISBN: 9784006023645
  • 岩波現代文庫 文芸364

子どもの本の「名作」について、心理学者の河合隼雄、詩人の長田弘の二人が、縦横無尽に語る対談。『赤毛のアン』『モモ』など、具体的な子どもの本の名作を数多く取り上げつつ、大人が読んでも新たな発見があり、重要な意味があるということを語る。読書の達人による、子どもの本の「名作」ガイド。(解説=河合俊雄)   …

目白雑録2
  • 『目白雑録2: 日々のあれこれ』
  • 金井美恵子
  • 中央公論新社
  • 2025年02月21日頃
  • ISBN: 9784122076181
  • 中公文庫 か15-8

突然の網膜剥離、手術、それに伴う禁煙、熱中したサッカー観戦、そして18年、共に暮らした愛猫トラーの死……。 予期せぬことも、いつかは……と覚悟していたことも、起こってみないと判らないことばかり。 辛辣かつ適確な文章で、小さなこと、大きなことをとらえ、批評する、読み応え抜群の時評的エッセイ集。〈解説〉 …

遠い「山びこ」
  • 『遠い「山びこ」: 無着成恭と教え子たちの四十年』
  • 佐野眞一
  • 中央公論新社
  • 2025年02月21日頃
  • ISBN: 9784122076198
  • 中公文庫 さ90-1

〈戦後民主主義の申し子〉43人が生きた軌跡 昭和23年、山形県の寒村に赴任した新任教師・無着成恭が教え子たちと取り組んだ作文集「山びこ学校」。 書籍化されるやベストセラーになり、子どもたちは「戦後民主主義の申し子」と讃えられた。 二十代で時代の寵児となった無着と、教え子たちのその後を通して、高度 …

族長の秋
  • 『族長の秋』
  • ガブリエル・ガルシア=マルケス/鼓 直
  • 新潮社
  • 2025年02月28日
  • ISBN: 9784102052136
  • 新潮文庫

無人の聖域に土足で踏みこんだわれわれの目に映ったのは、ハゲタカに喰い荒らされた大統領の死体だった。国に何百年も君臨したが、誰も彼の顔すら見たことがなかった。生娘のようになめらかな手とヘルニアの巨大な睾丸を持ち、腹心の将軍を野菜詰めにしてオーブンで焼き、二千人の子供を船に載せてダイナマイトで爆殺したと …

沈むフランシス
  • 『沈むフランシス』
  • 松家 仁之
  • 新潮社
  • 2025年02月28日
  • ISBN: 9784101055725
  • 新潮文庫

都会での仕事を三十五歳で辞め、北海道の小さな村で郵便配達をする女。川のほとりの木造家屋で世界中の「音」を集めながら暮らす男。偶然出会った両者は、急速に惹かれあっていく。からだでふれあうことでしか感じない安息と畏れ、そして不意に湧きあがる不穏な気配。その関係が危機を迎えた嵐の夜、決して若くはないふたり …

# 文庫情報

新刊文庫のメモを復活させてみる。続かないかもしれないけれど、備忘録ということで。2025年1月刊行の文庫から。

「俳優」の肩ごしに
  • 『「俳優」の肩ごしに』
  • 山崎 努
  • 文藝春秋
  • 2025年01月04日
  • ISBN: 9784167923242
  • 文春文庫

実人生と俳優業の原理は似ているーー橋のたもとの恐ろしい狂人、淡い憧れを抱いた女先生、父の復員と死……幼年期から少年期の記憶の断片は演技の原点となり、やがて独自の表現へと昇華した。波乱の人生を駆け抜けた孤高の俳優が、特異な視点で自由自在に綴った初の自伝。付録に山下澄人との対談を収録。特別寄稿・山下智 …

田中角栄の昭和
  • 『田中角栄の昭和』
  • 保阪 正康
  • 朝日新聞出版
  • 2025年01月08日頃
  • ISBN: 9784022621078
  • 朝日文庫

昭和の時代は3人の首相で総括できる。東条英機、吉田茂、田中角栄だ。では田中は、昭和後期の日本人のどんな姿を映し出しているだろうか。田中とは、何者だったのだろうか。大衆の欲望を充足させ、精神なき物量世界を作り上げた異能宰相の軌跡を、昭和史研究の第一人者が歴史の中に正しく位置づける。解説は、『ロッキード …

ハワーズ・エンド
  • 『ハワーズ・エンド』
  • フォースター/浦野郁
  • 光文社
  • 2025年01月09日
  • ISBN: 9784334105419
  • 光文社古典新訳文庫

二十世紀初頭の英国。富裕な新興中産階級のウィルコックス家と、ドイツ系で教養に富む知識階級のシュレーゲル姉妹、そして貧しいバスト家の交流を通じ、格差を乗り越えようとする人々の困難や希望を描いた、フォースターの代表作。

軽いめまい
  • 『軽いめまい』
  • 金井 美恵子
  • 講談社
  • 2025年01月13日頃
  • ISBN: 9784065381410
  • 講談社文芸文庫

郊外の住宅地にある築七年の中古マンションで、夏実は夫と小三と幼稚園児二人の息子と暮らしている。専業主婦の暮らしに何といって不満もなく、不自由があるわけでもない。けれど蛇口から流れる水を眺めているときなどに覚える、放心に似ためまいーー。 1990年代の東京。「中産階級」の変わることのない日常。2023 …

新編 イギリス名詩選
  • 『新編 イギリス名詩選』
  • 川本 皓嗣
  • 岩波書店
  • 2025年01月17日頃
  • ISBN: 9784003227329
  • 岩波文庫 赤273-2

ページを開けばきっと、声に出して読みたくなるーー詩人たちの〈歌う喜び〉を感じさせてやまない、イギリスの名詩の数々。一六世紀のスペンサーから二〇世紀後半のヒーニーまで、もっとも愛され親しまれている九二篇を、英語の原詩・和訳ともに堪能できる対訳で編む。日本の読者の理解を支える注釈・解説も充実、待望の新 …

ロシア文学を学びにアメリカへ?
  • 『ロシア文学を学びにアメリカへ?: 増補版 屋根の上のバイリンガル』
  • 沼野充義
  • 中央公論新社
  • 2025年01月22日頃
  • ISBN: 9784122076068
  • 中公文庫 ぬ3-2

1980年代、ロシア文学を専攻していた著者は、ソ連ではなく米国へ飛んだ。 ハーバード大で古代教会スラヴ語を習得し、街角でポーランド移民と交流。 多様な文化を内包する「サラダボール」の国で得た体験と考察をユーモラスに綴る、ヌマノ教授の原点たるエッセイ。 「ハーバード生活から三つのエピソード」他を新規収 …

昭和時代回想
  • 『昭和時代回想: 私説昭和史3』
  • 関川夏央
  • 中央公論新社
  • 2025年01月22日頃
  • ISBN: 9784122076044
  • 中公文庫 せ9-6

初刊時、世が「平成」となって10年あまりが経ち、「昭和」はすでに懐かしむ対象となっていた 日本人のありようを見つめる著者が、自身の個人史的随想と昭和を生きた作家への思いを軸に、かつて確かに存在した清々しい日本の姿、静かなる停滞(=老い)へと向かう自身の内面を綴った「昭和」アンソロジー。 穏やかだが切 …

目白雑録1
  • 『目白雑録1: 日々のあれこれ』
  • 金井美恵子
  • 中央公論新社
  • 2025年01月22日頃
  • ISBN: 9784122076013
  • 中公文庫 か15-7

2002年4月から2005年1月まで、世に現れた様々な言説、小説、映画を取りあげ、鋭い批評性と切り口でばっさり読み解く、素敵で過激なエッセイ集!  もちろん愛猫トラーも登場!

空とぶ絨緞
  • 『空とぶ絨緞』
  • 堀内誠一
  • 中央公論新社
  • 2025年01月22日頃
  • ISBN: 9784122076082
  • 中公文庫 ほ23-2

チュニジアの魚介スープ、台湾の屋台飯、ウクライナの肉団子をたいらげ、 国宝の美術品から露店の玩具までこよなく愛した堀内さん。 世界の美食・秘宝・島々をぐるりととび回る! 「パンパンになったお腹をなでなで、食後酒のグラッパをやってると、 いつしか自分がまるで常連客だったようにくつろいでいる。」 カ …

複眼人
  • 『複眼人』
  • 呉 明益/小栗山 智
  • KADOKAWA
  • 2025年01月24日頃
  • ISBN: 9784041146897
  • 角川文庫

太平洋に浮かぶ神話的な島と、近未来の台湾。二つの島に巨大な「ゴミの島」が押し寄せる時、謎の「複眼人」が姿を現すーー。世界14か国で翻訳。台湾現代文学の担い手による代表的長編、待望の本邦初訳!

私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか
  • 『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』
  • ロジャー・コーマン/ジム・ジェローム/石上 三登志/菅野 彰子
  • 早川書房
  • 2025年01月27日頃
  • ISBN: 9784150506148
  • ハヤカワ文庫NF

2024年5月に98歳で亡くなり、『アッシャー家の惨劇』など数々の低予算映画を成功させてきたコーマンが撮影手法と人生哲学を語る

いのちの記憶
  • 『いのちの記憶: 銀河を渡る2』
  • 沢木 耕太郎
  • 新潮社
  • 2025年01月29日
  • ISBN: 9784101235370
  • 新潮文庫

こことは別の場所に行き、ここにいる自分とは別の自分になってみたいーー。盗賊にさらわれることに憧れていた少年時代、シルクロードを旅する私に父が詠んだ一句、北欧の小さなホテルでの会話から得た教訓、外の世界へと足を向かわせた熱の正体、人生の岐路となった『危機の宰相』、高倉健との偶然の出会いから始まった交 …

火山のふもとで
  • 『火山のふもとで』
  • 松家 仁之
  • 新潮社
  • 2025年01月29日
  • ISBN: 9784101055718
  • 新潮文庫

ぼくが入社した村井設計事務所は、ひと夏の間、北浅間の「夏の家」へ事務所を移動する。そこでは稀有な感性をもつ先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業が行われていた。もの静かだけれど情熱的な先生の下で働く喜びと、胸に秘めた恋。そして大詰めに迫った中で訪れる劇的な結末。ただ夏が過ぎても物語は終 …

この国のかたちを見つめ直す
  • 『この国のかたちを見つめ直す』
  • 加藤陽子
  • 毎日新聞出版
  • 2025年01月14日頃
  • ISBN: 9784620210780
  • 毎日文庫

日本近現代史の泰斗、東京大学教授の加藤陽子氏が、国家と国民、東日本大震災、天皇と天皇制、戦争の記憶、世界と日本、そして日本学術会議会員任命拒否問題を論じる。戦後80年を前に話題のベストセラー、待望の文庫化!

# 文庫情報

今年に入って4月までの中公文庫から気になるもの。だいぶ多い……。

鉄道文学傑作選
  • 『鉄道文学傑作選』
  • 関川夏央
  • 中央公論新社
  • 2024年01月23日
  • ISBN: 9784122074675
  • 中公文庫 せ9-3

明治の鉄道開設以来今日まで、鉄道と文学は深く結びついてきた。風景描写、心理描写、舞台装置、トリックなど、作品を豊かに彩り、多くの名作を生み出した。本書では、小説・随筆・詩歌・日記と多彩な作品を取り上げ、それぞれに解説を付し、「日本の近代」を形作った装置としての鉄道と、その文学への影響を読み解く。

推理小説作法
  • 『推理小説作法: 増補新版』
  • 土屋隆夫
  • 中央公論新社
  • 2024年01月23日
  • ISBN: 9784122074699
  • 中公文庫 つ35-1

推理小説とは何か?そしてその作法とは?日常的な発想法のヒント、創作メモの取り方、プロット作り、ストーリイの構成…鮎川哲也とともに戦後の本格ミステリシーンを支えた巨匠による、超実践的創作指南。長年多くの実作者・読者から支持を得てきた著作に、自身の作家人生をふりかえる晩年のインタビュー/エッセイ二篇を増 …

カストロの尻
  • 『カストロの尻』
  • 金井美恵子
  • 中央公論新社
  • 2024年02月22日頃
  • ISBN: 9784122074811
  • 中公文庫 か15-5

ある本の一部から揺り動かされた記憶をたどって、別の本のページをめくるうち、眠っていた新たな記憶がよびさまされる…。さまざまな記憶の断片が、岡上淑子のコラージュ作品と響き合い、生み出された、十一の物語と批評。単行本版に、エッセイ、書き下ろし付記を増補。芸術選奨文部科学大臣賞受賞作。

キム・フィルビー
  • 『キム・フィルビー: かくも親密な裏切り』
  • ベン・マッキンタイアー
  • 中央公論新社
  • 2024年02月22日頃
  • ISBN: 9784122074897
  • 中公文庫 マ17-2

その男を語るキーワードは「魅力」。上流階級出身でケンブリッジ大学で学んだ愉快な男。幸せな結婚生活を送り一流クラブの会員でもある男。戦時特派員ののち今は諜報の世界を泳ぐMI6長官候補ー誰もが愛した英国紳士は、全員を裏切るソ連の二重スパイだった。衝撃の亡命までの三十年を、同僚との血まみれの友情を軸に描い …

私の作家評伝
  • 『私の作家評伝』
  • 小島信夫
  • 中央公論新社
  • 2024年03月19日頃
  • ISBN: 9784122074941
  • 中公文庫 こ62-2

彼らから受け継ぐべきものとは何かー二葉亭・鷗外・漱石から宇野浩二まで、近代日本文学の代表的な文豪十六人の生涯と作品を、小説家ならではの躍動する批評精神で辿る。作家たちの文学的遺産の核心に迫り、著者自身のその後の転回点をも示す、異色の評伝集。第二十三回芸術選奨文部大臣賞受賞作。

ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ
  • 『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』
  • 金井美恵子
  • 中央公論新社
  • 2024年03月19日頃
  • ISBN: 9784122074927
  • 中公文庫 か15-6

日常の続きのように家を出て行った父、母と移り住んだ町、伯母の洋裁店で縫い上げられるドレス…。祖母や伯母、そして母の記憶と私の幼年期の思い出が複数の糸となって、重なりあい織りなされる甘美な物語。巻末にロングインタビューと、金井久美子のエッセイを増補する。

侍従長回顧録
  • 『侍従長回顧録』
  • 三谷隆信
  • 中央公論新社
  • 2024年03月19日頃
  • ISBN: 9784122075009
  • 中公文庫 み57-1

第二次大戦下に仏大使としてペタンと行動をともにし、戦後は学習院次長を経て、昭和23年6月から侍従長に就任した。GHQの方針により地方巡幸が再開されると、朝鮮戦争、サンフランシスコ講和条約など激動の時代のなか、九州から北海道まで、昭和天皇のお供をした。また東宮(現上皇)御外遊の在任十七年間を穏やかな筆 …

歴史に消えたパトロン
  • 『歴史に消えたパトロン: 謎の大富豪、赤星鉄馬』
  • 与那原恵
  • 中央公論新社
  • 2024年03月19日頃
  • ISBN: 9784122075016
  • 中公文庫 よ58-2

武器商人の父が遺した莫大な資産をつぎこみ、日本初の学術財団「啓明会」を設立、柳田國男ら錚々たる学者の研究を支援。アメリカからブラックバスを移入し釣りの世界で名を馳せ、弟たちと日本のゴルフ草創期を牽引。吉田茂など華麗なる人脈を持ちながら、ほとんど何も残さずに世を去った実業家、赤星鉄馬。その謎に満ちた一 …

消え失せた密画
  • 『消え失せた密画』
  • エーリヒ・ケストナー/小松太郎
  • 中央公論新社
  • 2024年04月22日頃
  • ISBN: 9784122075139
  • 中公文庫 ケ9-1

ベルリンで長年真面目に働いてきた肉屋の親方キュルツは、突然すべてが嫌になって家出し、コペンハーゲンにやって来た。そこで高価な密画を運ぼうとする女性に協力を頼まれる。盗賊団や、謎の青年から狙われる密画を、人の良いキュルツは守れるか…。「抵抗の作家」がナチスからの迫害下に著した痛快ユーモアミステリー。

# 文庫情報

今年に入って4月までの河出文庫とちくま文庫から気になるもの。

ナイン・ストーリーズ
  • 『ナイン・ストーリーズ』
  • J・D・サリンジャー/柴田 元幸
  • 河出書房新社
  • 2024年01月10日頃
  • ISBN: 9784309467931
  • 河出文庫

シーモア・グラースが語る、バナナフィッシュの悲しい生態(「バナナフィッシュ日和」)、少年たちが夢中になる笑い男の数奇な冒険(「笑い男」)、兵士に宛てられた小さな淑女からの一通の手紙(「エズメに、愛と悲惨をこめて」)。現実を綱渡りで生きるひとびとの一瞬を切り取った、アメリカ文学史上に輝く自選作品集。

ザ・ロード
  • 『ザ・ロード: アメリカ放浪記』
  • ジャック・ロンドン/川本 三郎
  • 筑摩書房
  • 2024年04月12日頃
  • ISBN: 9784480439499
  • ちくま文庫 ろー10-1

1892年アメリカ、16歳のジャック・ロンドンは初めて放浪の旅に出た。列車にタダ乗りして大陸を巡る旅は、苦しいながらも自由で、信じられない出来事の連続だった。無賃乗車や騙りの技術、刑務所でのサバイバル、警察との追跡劇、忘れがたいホーボー(放浪者)の仲間たち…『野性の呼び声』で知られる作家が、若き日の …

本は眺めたり触ったりが楽しい
  • 『本は眺めたり触ったりが楽しい』
  • 青山 南
  • 筑摩書房
  • 2024年02月13日頃
  • ISBN: 9784480439321
  • ちくま文庫 あー15-4

積みあげたり、適当に開いたり、声に出して読んだり、ただ手にとって眺めたり…本の読み方に決まりはない、自由にやろう!本が好きな人は、みんな、いろんなふうに読んでいる。読まずに読む方法を知る人だっている。こころが軽くなり、読書が楽しくなって、もっと本を読みたくなる名著『眺めたり触ったり』が題名をすこし変 …

古本大全
  • 『古本大全』
  • 岡崎 武志
  • 筑摩書房
  • 2024年01月15日頃
  • ISBN: 9784480439345
  • ちくま文庫 おー34-11

買って、読んで、書いてきた。ライター、書評家として、四半世紀分の古本仕事の集大成。古本屋のお作法と流儀。ブックオフやネット販売の登場、女子の古本屋、中央線新世代古本屋の活躍、そして、突然のコロナ騒動まで。古本を愛しすぎる著者だからこそ書ける業界の変化と動向のあれこれ。出版コラム「愛書狂」など単行本未 …

# 文庫情報

2023年11月刊行の平凡社ライブラリーから気になるもの。厳密には文庫ではないけど、文庫に含めてしまおう。

増補 借家と持ち家の文学史(956;956)
  • 『増補 借家と持ち家の文学史(956;956): 「私」のうつわの物語』
  • 西川 祐子
  • 平凡社
  • 2023年11月06日頃
  • ISBN: 9784582769562
  • 平凡社ライブラリー

明治から令和までに書かれた大量の小説群を、「一冊の大河小説」として読む、破天荒な試み。小説には、家制度の解体から核家族化を経て、一人暮らしが激増する現在までの「家」や「家族」、そして、その時の「私たち」が、何を感じ、望み、考えてきたのかが、繰り返し描かれてきた。戦争やパンデミックで孤立や分断が進むい …

余生の文学(957;957)
  • 『余生の文学(957;957)』
  • 吉田 健一
  • 平凡社
  • 2023年11月06日頃
  • ISBN: 9784582769579
  • 平凡社ライブラリー

「言葉の他に人間の精神を全面的に動かし得るものはない」-。古今東西の文芸への深い造詣を持つ著者が、作品を自在に渉猟しつつ綴る、至福の文学論、文章論、そして人生論。「我々は若くなる為にも年を取る他ない」という名フレーズを含み、吉田健一のエッセイ中随一の人気を誇る名篇にして表題作「余生の文学」ほか、書物 …

# 文庫情報

2023年11月刊行のちくま文庫とちくま学芸文庫から気になるもの。

出久根達郎の古本屋小説集
  • 『出久根達郎の古本屋小説集』
  • 出久根 達郎
  • 筑摩書房
  • 2023年11月13日頃
  • ISBN: 9784480439161
  • ちくま文庫 てー10-5

古本屋店主にして作家となった出久根達郎。その古本小説のなかから傑作を選び出したアンソロジー。少年時代の本との出会い、下町の古本屋での修業時代、独立後の苦労など、著者自身の体験を作品化したもの。本に憑りつかれた人々の妄執の凄まじさ、一冊の本に込められた思い、人と本が織りなす様々な人生模様を描いた作 …

橙書店にて
  • 『橙書店にて』
  • 田尻 久子
  • 筑摩書房
  • 2023年11月13日頃
  • ISBN: 9784480439215
  • ちくま文庫 たー101-1

熊本にある本屋兼喫茶店、橙書店の店主が描く本屋と「お客さん」の物語。石牟礼道子さんが逝った日「ただただ悼みたい」と訪れた人。“書くこと”を焚きつけた渡辺京二さんの言葉。縁あって催した“村上春樹朗読会”の夜。雑誌『アルテリ』に寄稿するハンセン病患者「関さん」と交わした握手ー。文庫版のための書き下ろし・ …

晩酌の誕生
  • 『晩酌の誕生』
  • 飯野 亮一
  • 筑摩書房
  • 2023年11月13日頃
  • ISBN: 9784480512161
  • ちくま学芸文庫 イー54-4

万葉の昔からはじまり、江戸時代に花開いた日本人の家飲み。当初健康のため、安眠のために飲まれていた「寝酒」は、灯火の発達とともにゆっくり夜を楽しむ「内呑み」へと変わっていく。飲まれていたのは濁酒や清酒、焼酎とみりんをあわせた「本直し」等。肴は枝豆から刺身、鍋と、現代と変わらぬ多彩さ。しかも、振り売りが …

# 文庫情報

2023年11月刊行の中公文庫から気になるもの。

野生の棕櫚
  • 『野生の棕櫚』
  • フォークナー/加島祥造
  • 中央公論新社
  • 2023年11月21日
  • ISBN: 9784122074477
  • 中公文庫 フ17-2

一九三七年ー若き人妻と恋に落ちた元研修医が、二人の世界を求める彷徨する(「野生の棕櫚」)。一九二七年ーミシシピイ河の洪水対策中、漂流したボートで囚人が妊婦を救助する(「オールド・マン」)。異なる二つの物語を交互に展開する斬新な構成で二十世紀文学に最大級の方法的インパクトを与えた、著者の代表作。

バルザック(上)
  • 『バルザック(上)』
  • シュテファン・ツヴァイク/水野亮
  • 中央公論新社
  • 2023年11月21日
  • ISBN: 9784122074453
  • 中公文庫 ツ2-1

『ゴリオ爺さん』『谷間の百合』ほか全九一篇、登場人物二〇〇〇人による壮大な「人間喜劇」を構想したバルザック(一七九九ー一八五〇)。富と名声を求めて旺盛な創作活動に邁進し、天才と俗物の間を生きた人間の栄光と悲惨をあますところなく描き切った本格評伝。

フィッツジェラルド10
  • 『フィッツジェラルド10: 傑作選』
  • スコット・フィッツジェラルド/村上春樹
  • 中央公論新社
  • 2023年11月21日
  • ISBN: 9784122074446
  • 中公文庫 む4-14

この一冊で見渡す作品世界ー。若くして洞察に富むデビュー期の輝き、早すぎる晩年の作ににじむ哀切。二十年でついえた作家としてのキャリアの中で、フィッツジェラルドが生み出した幾多の小説から、思い入れ深く訳してきた短篇を村上春樹が厳選。「エッセイ三部作」を加えたベスト十作を収録。

# 文庫情報

新刊文庫情報も、せっかくだし定期的にメモしておきたい。今回は2023年12月の岩波文庫と岩波現代文庫から。

シェイクスピアの記憶
  • 『シェイクスピアの記憶』
  • ホルヘ・ルイス・ボルヘス/内田 兆史/鼓 直
  • 岩波書店
  • 2023年12月19日頃
  • ISBN: 9784003770146
  • 岩波文庫 赤792-10

分身、夢、記憶、不死、神の遍在などのテーマが作品間で響き合う、巨匠ボルヘスの白鳥の歌。本邦初訳の表題作のほか、「一九八三年八月二十五日」「青い虎」「パラケルススの薔薇」を収録。精緻で広大、深遠で澄明な、磨きぬかれた四つの珠玉。巨匠の文学的遺言。

日本軍の治安戦
  • 『日本軍の治安戦: 日中戦争の実相』
  • 笠原 十九司
  • 岩波書店
  • 2023年12月19日頃
  • ISBN: 9784006004712
  • 岩波現代文庫 学術471

治安戦とは、占領地、植民地の統治の安定を確保するための戦略、作戦、戦闘、施策などの総称である。日本軍がおこなった治安戦(三光作戦)の発端・展開・変容の過程を丹念に辿り、加害の論理と被害の記憶からその実相を浮彫りにする。現在のウクライナ戦争やパレスチナ問題などを考える上でも示唆に富む一冊。

# 文庫情報

岩波文庫で英国古典推理小説集。おもしろそう。

「殺人があったのは二十二年前の今日――」。ディケンズ『バーナビー・ラッジ』とポーによるその書評、英国最初の長篇推理小説と言える「ノッティング・ヒルの謎」を含む、古典的傑作八編を収録(半数が本邦初訳)。読み進むにつれて、推理小説という形式の洗練されていく過程がおのずと浮かび上がる、画期的な選集。

# 文庫情報

7月の集英社文庫と文春文庫から。ちょっと遅くなったけど備忘のメモ。

あの日を刻むマイク ラジオと歩んだ九十年
  • 『あの日を刻むマイク ラジオと歩んだ九十年』
  • 武井 照子
  • 集英社
  • 2022年07月20日
  • ISBN: 9784087444124
  • 集英社文庫(日本)

一九四五年八月十四日、当時二十歳のアナウンサーだった著者は、ラジオアナウンス室に集められてこう言われた。「明日、日本は負けます。もし何かあってもあなたたちは自分の身を守りなさい」。大正時代に生まれ、豊かだった幼少期から戦争を経て、高度経済成長期、東日本大震災、平成から令和へ。“NHKで働く母親第一 …

イヴリン嬢は七回殺される
  • 『イヴリン嬢は七回殺される』
  • スチュアート・タートン/三角 和代
  • 文藝春秋
  • 2022年07月06日
  • ISBN: 9784167919139
  • 文春文庫

舞踏会の夜、イヴリン嬢は殺される。その謎を解くのがおまえの任務だ。ルール#1:事件を解決するまで、この一日はずっとループする。ルール#2:新たなループに入ると意識は別の人間に転移している。ルール#3:探偵役はおまえ一人ではない。ルールは以上だ。さあ事件に挑め。究極の特殊設定みステリ登場。

# 文庫情報

2022年7月のちくま文庫から。

平成古書奇談
  • 『平成古書奇談』
  • 横田 順彌/日下 三蔵
  • 筑摩書房
  • 2022年07月11日頃
  • ISBN: 9784480438232
  • ちくま文庫 よー10-4

フリーライターをしながら作家を志す25歳の馬場浩一は、街の古書店、野沢書店に出入りしている。店主の野沢勝利と娘の玲子と懇意にしながら、趣味や仕事、執筆の資料として出会う古書を通じて不思議な事件や謎にぶつかる。古書マニアの著者が知る業界の事情を巧みに盛り込み、SF、ホラー、ファンタジーを横断する連作 …

ジャンパーを着て四十年
  • 『ジャンパーを着て四十年』
  • 今 和次郎
  • 筑摩書房
  • 2022年07月11日頃
  • ISBN: 9784480438287
  • ちくま文庫 こー2-2

結婚式でも大使の前でも、いつでもジャンパー。柳田國男に破門され、「考古学」ならぬ「考現学」を生み出した今和次郎。戦前戦後の日本社会を市中から観察してきた著者がユーモアたっぷりに服装文化の古今東西を語りだす。“服”とは一体なにものなのか。世間に溢れる“正装”“礼儀”“エチケット”とは、“装う”という行 …

# 文庫情報

2022年7月の河出文庫から。

ディフェンス
  • 『ディフェンス』
  • ウラジーミル・ナボコフ/若島 正
  • 河出書房新社
  • 2022年07月06日頃
  • ISBN: 9784309467559
  • 河出文庫

どこか特別な少年ルージンは、チェスの神童として注目される。家族と離れ、世界で対局を続けるうちに、芸術家として彼を敬愛する女性と出会う。ベルリンの大会を絶好調で過ごす彼は、手強いイタリア人トゥラーティとの対決を迎える。

紺青のわかれ
  • 『紺青のわかれ』
  • 塚本 邦雄
  • 河出書房新社
  • 2022年06月07日頃
  • ISBN: 9784309418933
  • 河出文庫

同じ男に想いを寄せた美術家姉弟の悲劇「月蝕」、冥界に迷い込んだ男と禁忌を破り囚われている男の束の間の交感「冥府燦爛」、師と共に蒼の世界を求めた青年に忍び寄る悪意「紺青のわかれ」-。秘めやかな愛に身を捧げ、儚い最期を迎える男たち。現代短歌の鬼才が精緻に煌びやかに織り上げた十の迷宮へようこそ。

ガルシア=マルケス中短篇傑作選
  • 『ガルシア=マルケス中短篇傑作選』
  • ガブリエル・ガルシア=マルケス/野谷 文昭
  • 河出書房新社
  • 2022年07月06日頃
  • ISBN: 9784309467542
  • 河出文庫

「大佐に手紙は来ない」「純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語」など、世界文学の最高峰が生みだした永遠の傑作たち。世界一美しい鳥かごを作った大工、中庭で見つかった年老いた天使、朽ちることのない少女の遺骸、割れた電球から流れだす金色の光…。多面的な魅力を凝縮した新訳決定版。

# 文庫情報

2022年7月の中公文庫から気になるもの。

八代目正蔵戦中日記
  • 『八代目正蔵戦中日記』
  • 林家 正蔵/瀧口 雅仁
  • 中央公論新社
  • 2022年07月21日
  • ISBN: 9784122072350
  • 中公文庫 は77-1

噺家・八代目林家正蔵(後の彦六)が残した膨大な日記より、昭和16年12月1日から20年8月31日の記述を摘録。清貧に徹した長屋での暮らしぶり、謹厳実直で「トンガリ」とあだ名された反骨精神がにじむ活き活きとした筆致に、蝶花楼馬楽時代の名人の素顔が窺える。戦時下における東京下町の日常を伝える貴重な一級資 …

疎開日記
  • 『疎開日記: 谷崎潤一郎終戦日記』
  • 谷崎 潤一郎
  • 中央公論新社
  • 2022年07月21日
  • ISBN: 9784122072329
  • 中公文庫 た30-60

第二次世界大戦下、激しい空爆をさけて疎開した文豪が、きれぎれに思いかえす平和な日の記憶。表題作と、戦後すぐに発表した随筆を収めた『月と狂言師』をもとに、文庫初収載になる戦時下の永井荷風、吉井勇との往復書簡などを増補した谷崎版「終戦日記」。

統帥乱れて
  • 『統帥乱れて: 北部仏印進駐事件の回想』
  • 大井 篤
  • 中央公論新社
  • 2022年07月21日
  • ISBN: 9784122072275
  • 中公文庫 お98-1

フランスとの合意を無視し武力進駐を強行しようとする現地陸軍。派遣艦隊司令部は断固阻止せんとするも、1940年9月、ついに「協力不可能、離脱セヨ」との命令が。軍部が国策を引き摺るという不条理が顕わとなった、仏印進駐の“失敗の本質”が浮かび上がる迫真の記録。阿川弘之推薦文、半藤一利によるインタビューを付 …

文と本と旅と
  • 『文と本と旅と: 上林曉精選随筆集』
  • 上林 曉/山本 善行
  • 中央公論新社
  • 2022年07月21日
  • ISBN: 9784122072282
  • 中公文庫 か95-1

「昔は僕も新刊書の匂いが好きであったが、この頃は古本の匂いがずっと好きになった」。文章、本(古本)、旅、酒、そして人…。私小説作家・上林曉の魅力が伝わる題材に寄せて、全生涯にわたる名文を精選。愛書家の心に染み入る随筆業。

# 文庫情報