以下、2017年3月20日にこのサイトの前身のブログに書いたものをここに採録しておきます。
実は、私は2年ほど前までジャズはほとんど聴いてませんでしたが、いまは、けっこうジャズに接しています。変わるきっかけになったのは、ロバート・グラスパー(Robert Glasper)。なんとなく評判がよかったことから、Robert Glasper Experiment 名義の『Black Radio』と『Black Radio 2』を聴いてみて、あまりのかっこよさにびっくり。そこからロバート・グラスパーのピアノトリオでの過去作に遡って、いや、これはよいなあと感動してから、ジャズに興味を持つようになりました。
それで、グラスパーを気に入って、もう少しジャズをいろいろ聴いてみたいと思い、何枚かCDを聴きました。そこで感じたのは、自分はスイングしたものはそれほど好みではなく、ある程度、昔のものはあまりピンとこないことでした。言うほどたくさん聴いているわけではないので、勘違いしている可能性も高いのですが、なんとなく、以前から聴いてきたロックに拮抗するようなもの、それを何か超えていくようなものを求めていた気がします。
そうしたなかで出合ったのが、このCD。イスラエル出身のベーシスト、アビシャイ・コーエン(Avishai Cohen)がリーダーとなり、ピアノがシャイ・マエストロ(Shai Maestro)、ドラムがマーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)のトリオで、2008年に発表されたものです。最初、聴いたときは、それほどでもありませんでしたが、何度か聴くうちに、どんどん惹き付けられていきました。Amazonのレビューでもかなり高評価になっていますが、一般的な「名盤」なのかどうかはよく分かりません。でも、自分にとっては、いまではもっともお気に入りのジャズ・アルバムの一つになっています。
うまく表現できないのですが、なによりすごいと感じるのは、ベース、ピアノ、ドラム、三者の音の絡まり合いです。3つそれぞれのフレーズとリズムが重なり合って展開していく様子が、本当にスリリングなのです。静かで穏やかな曲もありますが、曲によっては、自分がこれまでに聞いてきたロック・ミュージックのどれをも大きく超えていると感じます。めまぐるしく息もつけない展開。いったいどこに連れて行かれるのか分からない面白さ。次々と新しい音のリズムが押し寄せてきて、それに身を任せていると、本当に心底から解放される気持ちになります。なんて言ったらいいのか、もっと自由でいいんだという気持ちになれるのです。
あと、全体を通して、ピアノがとても美しいと思いました。とくに一曲目の冒頭、ピアノの繊細で叙情的なフレーズには、何度聞いても気持ちが持っていかれます。
このアルバムを聴いて、ジャズの魅力の一端が体感できたような気がします。いやまあ、まだ本当に初心者なので、ジャズに詳しい方からすれば、ちゃんちゃらおかしいかもしれませんが(^^;)。
Avishai Cohen Trio『Gently Disturbed』、2008年
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